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モネ展

大阪中之島島美術館で2月10日より開催中のモネ展に行ってまいりました。
60余点すべてがモネという贅沢な展覧会です。



モネはピサロやシスレーなどと同じく印象派の一人として有名ですが、印象派という括を超えて、その後の絵画史の流れに大きな影響を与えています。


例えばピサロは陽光を受けた木々や大地の輝きを、シスレーは川の水面のキラキラとした照り返しを主に描いています。


モネも1870年代位までは、同じ様に、光を受けた風景を描いていましたが、1877年に描いた「サン=ラザール駅」の初めての連作あたりから、光を受けて輝く対象物よりも、光そのものに関心が移り、1時間ごとに全く光が変化する事に気付きます。
アルジャントゥイユ、ヴェトゥイユと移り、1883年にジヴェルニーに移ってからの、近郊のエトルタの断崖や、90年代にかけての積み藁は、陽光をより多彩に見せる為の道具でしかなく、描きたいのは光そのものの表現である事がはっきりしてきます。


そしてその光の追求の到達点に存在するのが、30点にも及ぶルーアンの大聖堂のシリーズです。
大聖堂はもはや光を多彩に輝かせるスクリーンにすぎません。


そして、ウォータールー橋やチャリング・クロス橋は霧に包まれた光のかなたに消え去るかのごとく感じます。

モネ展

ジヴェルニーの池に浮かべた睡蓮の連作は、晩年に白内障を患った影響もあり、いままでどの絵画にも見られなかった表現主義的な傾向が見られます。



カンディンスキーがモネの積み藁を見た衝撃から抽象画を生み出した事からも、モネが単に対象物を描いているのではないという証明にもなり、そこが他の印象派の画家を超えた、モネの視覚の独自性と言えるのではないでしょうか。



                      大阪中之島美術館
                      会期:2024年2月10日~5月6日

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