「ピカソとその時代・ベルクグリューン美術館展」
国立国際美術館のピカソ展のレセプションに行って参りました。
ハインツ・ベルグラン(ベルクグリューン)の著書「最高の顧客は私自身」は、かなり以前に読んでいたので、この希代の画商であり、コレクターでもある人物の、特にピカソとクレーのコレクションは是非一度観たいと思っていたので、今回の展覧会は願ってもないものでした。
実際に観た感想では、やはり卓越した画商が集めたコレクションだけあり、一貫したセンスの良さと、高いクオリティには驚かされます。
ベルグランがピカソを扱いだしたのは1950年以降という事を考えると、すでに大巨匠であったピカソをこれだけ集めたのは、奇跡に近いのではないでしょうか。
そして、ポール=クレーのコレクション。 水彩による小品達は、あまりに美しく、観る者を夢見心地にさせてくれます。
画商とコレクター。
この両者は似ているようで、相反する者でもあります。
良き画商とは何か?
それはまぎれもなく、良い作品を顧客にもたらし、そのコレクションを充実させる事に全霊を尽くす人の事です。
そうすると、画商として大成功し、尚且つ大コレクターになるというのは一見矛盾しており、不可能な事の様に思えます。
このベルグランがそれを成し遂げたという事は、この人物が類い稀な才能と多くの人達を魅了する力を持ち合わせていたという事に他ならないのではないでしょうか。
ピカソの画商としてあまりに有名なカーンワイラー。
そのカーンワイラーを崇拝していたベルグラン。
知名度では全く遅れをとっていますが、画商とコレクターを両立させたという事に関しては、本当に充実した満ち足りた人生だったのではないでしょうか。